50年代のピッコロイタリアンの中でも重要なマニュファクチュアーの一つCaproni
そのカプロニを代表するモデルCapriolo 75が只今販売中


1951年から57年まで作られたこのカプリオーロ75 こちらはその中でも最初期に作られた車両になります。カプリオーロは大きく分けて3回、細かく分けると5回程のモデルチェンジがされたと言われていますが、こちらの車両にはその最初期のみに見られるディテールや塗装を含めて当時のままオリジナルコンディションが残った貴重な一台になります。

エンジンは独特なデザインの縦置きクランクフェイスカム駆動のOHC。シリンダーも含めオールアルミエンジンでクランクケースも一体鋳造と75ccのバイクとしては贅沢な造りです。

エンジン前側のプレス加工で作られたカバーの中には小さいながらもしっかりマスの取れる真鍮製のフライホイールが隠れています。一般的にはアルミで作られるフライホイールマグネットのフライホイールですが、縦置きクランク故のスペースの制約からかコストが掛かかってもフライホイールのマスを重要視したデザインになっています。

特徴的なハート型のヘッドカバーはナット一個で固定されていて簡単に取り外すことができます。
中にはクランクシャフトからベベルギアを通じて立ち上がってきたシャフトにフェイスカムが繋がっています。ロッカーアームやバルブ周りの繊細な作りも独特です。
変速は当時のイタリア車としては珍しい左チェンジで、これまた50年代初頭の小排気量車としては贅沢な4速ギアボックスを採用。シフトインジケーターも装備されています。

こちら初期型のみの仕様のクラッチアーム。この後すぐにケースカバーのデザインを変更してアームがケース内に入ってしまうので初期の頃の車両にしか付いていません。
ツーリスモモデルらしい幅広のハンドルはカプリオーロ専用品。レバーもソリッドのスチール製で贅沢な作り。アクセルは汎用品を使わず専用の巻き上げスロットルになっています。

メーターは雰囲気のあるCEV製が付いていますが、残念ながらドライブが無いので現在不動です。

こちらも最初期型の特徴、パイプそのままといった素朴なデザインのフォークアウターチューブ。この後のモデルから一般的なデザインの上下を絞った太めのアウターチューブカバーが取り付けられる為、この素朴な感じは無くなります。

ボックス形状がよく分かるアングル。ヘッドの補強リブにホーンを収納させスッキリとしたデザインになっています。

フロントフェンダーには当時のディーラーのプレートが残っています。


プレスフレームにスッポリ収まったガソリンタンクは上から見るとスリムですが、上下に長く意外とボリュームがあります。初期型の特徴は上面にリブが入らずツルッとしているところが違います。


これも初期型の特徴でタンク下に点火コイルを納める穴が付いてコイルとタンクが一体化しています。

カプローニがあったトレントの山並みを取り入れたデザインのバッジはこれまた贅沢な七宝製。

前の部分が少し幅広なのがカプリオーロのシートの特徴です。

こちらも初期型の特徴、リアフレームの上に付く小型のツールボックス。
中後期ではリアフレーム下からスイングアームピポットの辺りに移動します。

後のモデルではテールエンドが取り外しできるようになっていますが、こちらは一体型のサイレンサーになっています。のちの物より抜けが良く、音は太めでなかなか良い音がします。
ドラムブレーキパネルのトルクロッドを兼ねたチェーンケースはアルミ製。ブレーキスイッチは道路走行基準変更に付けた後付けの物です。

テールライトはストップランプ付きの物に交換されていますが、リアフェンダーはもとよりテールランプステーまでオリジナルのまま残っています。
先にも書きましたが50年代に道路走行基準が変更になってストップランプの義務付けがされたようで、それに対応すべく改造されていることが多いので、50年代初期のバイクのテール周りがそのまま残っていることは少ないです。


こちらも初期型の特徴、カンチレバー式のスイングアームを用いたリアショック。
モトグッチの大型車と同じデザインの凝ったリアショックになっています。

スイングアームにはノーマルではフリクションダンパーが装備されていますが、こちらには当時の社外品と思われるオイル式ダンパーが付いています。ラベルもおしゃれ。


カプリオーロのあったトレントは先日冬季オリンピックが行われた北部イタリアドロミテ地方にあったこともあるのか、イタリア車というより当時のドイツ車からの影響を受けた様なプレスチャンネルフレームに縦置きクランクといったデザインが特徴ですが、そこは数々の独創的な飛行機を作ってきたカプロニ社、飛行機メーカーならではの独創的なデザインや精密な造りがあちこちにあって、メカニズム的にとても面白いオートバイです。走ってみても低回転域では真鍮製の重量のあるフライホイールが小排気量に似つかわしく無い鼓動感があり、回していくと伸びの良い柔らかい感じの加速感でとても上質なエンジンフィーリングです。20インチの大きなホイールも大きなジャイロ効果で安定した直進性を見せ、1950年代初頭のイタリアの実用車の実力を感じることができます。
何と言ってもこの排気量の車両にここまでのコストをかけて作ったカプロニの良心が感じられるこのバイク、小排気量ビンテージバイクをご愛好いただいている方にぜひ一度乗って頂きたい一台です。