Moto Guzzi Motoleggera 65 入荷。

1946年、戦後復興の足として、それまで大型車専門メーカーだったモトグッチとしては異例の小型車として作られたMotoleggera 65  1954年までの9年間に約50.000台が生産されて、当時の市民の足として大変重宝され、"Guzzino"という愛称と共にイタリア人にとって特別な一台なとても可愛いグッチーノが入庫しました。

日本で言うところの原動機付自転車と同じ様なカテゴリーのように思われるこのグッチーノですが、現車を前にするとその作りはより大きなオートバイの様にしっかりしたもので、シンプルな作りながらたった65ccのオートバイとは思えません。

エンジンはグッチらしく42X46のロングストロークでグッチ初の2ストロークエンジン。シリンダーはこの当時で既にアルミシリンダーを採用。(一部鉄シリンダーもあり)クランクシャフトにバルブ機能をもったシンプルなクランクウェブバルブ方式です。

キャブレターはDellorto MA13 イグニッションは2次コイルを持たないダイレクトイグニッション。

当時に交換されたであろうRUMI用のプラグキャップがオシャレです。

小ぶりな砲弾型のホーンも当時のまま可愛らしいです。

幅広のハンドルバーは大型のアイローネなどと同じデザイン。操作系は独特で扱うにはちょっと慣れが必要です。でも、そこが面白いのです。

まず、アクセルは普通の捻るスロットルでなくレバー式。ハンドルと並行に伸びたノブを手前に引いて上げていきます。初めは慣れなくて戸惑うかもしれませんが、慣れるとこれが意外に細かいコントロールも効いてクルーズコントロール的な使い方もできて快適です。もう一方のノブはキャブレターのチョークです。

アチェンジはタンク右側のノブを使うハンドチェンジ。シフトゲートが付いているので操作はそれほど難しくありません。その方法は、左側にレバーを押しながら下に引くと1速、同じく左に押しながら前に倒すと2速、そこから右に押しつつ前に倒すと3速といった感じで切られたゲートに合わせて操作します。レバースロットルを操作しながらハンドチェンジでギアを切り替えるのは結構楽しい操作です。

左側にはヘッドライトのON/OFF,Hi/Lo の切り替えとホーンボタンがあります。

ハンドルに巻き付けられたのはイタリアの交通安全のお守り、マリア様です。

ねじ込み式のプラスチック製タンクキャップには単なるキャップだけでないもう一つの機能が。

それはこちら。混合オイルのメジャーカップも兼ねています。ガソリン1リットルに対してこのキャップ一杯のオイルが当時の混合比です。

CEV製の電気系はスイッチライトケースやライトリム含めて当時のまま綺麗に残っています。

しっかりしたブレードフォークが特徴のフロント周り。意外にストロークが長くしなやかで、タンピング機能はありませんがふわふわして快適です。あと目の前で見えるサスペンションの動きがなんとも良し。

ボックス構造のスイングアームはしっかりした作りでダブルスプリングのプリロードは調整可能、スイングアームとの接点はボールジョイント状になっている凝った作り。

アチェンジペダルがない故にシンプルなステップ周り。キックアームは固定式のシンプルな作りでこの辺りは割り切った作り。当時は社外品で折りたたみ式などもありました。


ブレーキペダル周りもシンプルな作りです。筒型のサイレンサーは蓋が脱着式になっていてメンテナンス可能。

 

テーパー状のチューブにカールしながらカットされたエンドがなんとも凝った作りのテールパイプ。イタリア車ならではのデザインです。

シンプルなテールランプは尾灯のみの仕様。当時はストップランプの義務はありませんでしたのでこの仕様です。

今まで何台かのグッチーノを扱ってきて販売後試乗するたびに乗ってて楽しい!と思えるこのMotoleggera 65  ビーンと軽快に回るエンジンフィーリング、レバースロットルとハンドチェンジの操作感、柔らかかつしなやかな動きのサスペンション、大径ホイールの安定感など例えるなら軽飛行機で空を飛んでいるような乗り心地と言っていいのでしょうか、他のどのバイクにもない独特の乗り味があります。そして乗るとわかるのはこれも紛れも無いMoto Guzziらしい乗り味があるのもこのバイクの面白い所です。
気軽な足代わりから操作感を楽しむ趣味の走りまで色々と楽しいバイクです。
オリジナルのまま残ったこのコンディションも希少です、是非一度ご覧くださいませ。
2024/4/11ご成約ありがとうございます。