店主お気に入りのModel A からF までの初期Lambrettaシリーズ、その中でも希少なModel F が入荷しました。
Lambretta Model F は当時の主力モデルModel Dの廉価版として1953年に作られたModel Eの後継モデルとして1954〜5年にかけて販売されました。
こちらの個体はその中でも初期のFでフレームナンバーなどはEのままModel Fに転換していった頃の希少な個体になります。
エンジンは縦置きクランクの2ストローク52X58mmのボアストロークで排気量は123cc
シャフトドライブ駆動。サスペンションはトーションバースプリングを用いたユニットスイングとなっています。
そしてこちらがModel E,F最大の特徴の横踏みキック機構。最初のModel Eでは何と手でロープを引っ張るプルスタート方式を採用。スタートの際のケッチン防止の為に2stとしては珍しい進角機構が備わっていました(手動もしくは自動)その後キックスタート方式に始動部のユニットを入れ替えたのがModel Fとなります。
シフトはランブレッタ独特のTeleflex 製のシングルワイヤー方式の3速。
Telefrex のロゴと当時のまま残ったタックスホルダーと納税証明。
オリジナルヘッドライト。
Model Dとは逆さまの向きになったリーディングサスペンションも初期型Fの特徴。
フロアボードもDより幅狭でフロアレールも簡略仕様となっています。
そしてスタンドもレギュラーモデルが鋳物製のメインスタンドからスチールバーを曲げて作られたサイドスタンドになっているのもE,Fの特徴です。
こちらもこのシリーズの特徴、フレームがループになっておらずU字型でスッパリと切られています。そしてその切り口に蓋を付けてツールボックスに。エンジンを遮るものがなく、ガソリンタンクも宙に浮いた感じのとても不思議な感じのデザインになっています。
薄型のガソリンタンクにはオリジナルのデカールがしっかり残っています。
タンクキャップもオリジナルと思われます。
大型のボックスの状態も良好。残念ながらキーは欠品です。
テールランプはオリジナルからAprilia製のCatluxに交換されていますが、こちらは当時オリジナルに無かったストップランプをつけるためにされたもの。
全体的にとてもオリジナル度の高い個体で現状でもエンジン始動確認済みで一通り整備すれば乗り出せそうなぐらい良い状態です。Model Dと同じぐらいのパワーでありながらシンプル化したエンジンと車体周りでD以上に軽快に走るとても走りが楽しいスクーターです。同じ時代のヴェスパと一味違う乗り味とデザインをお楽しみいただければと思います。